菓子パンの食べ過ぎに注意

はじめに

コンビニなどで売られている菓子パンは、見た目や値段に対して予想以上のカロリーがあります。太りたいと思っている人にとっては、いかに継続的にカロリーを摂取するかが重要なので、おいしくて、安くて、カロリーの摂れる菓子パンについつい手が伸びてしまいます。

菓子パンの栄養表示を見ると、種類にもよりますがだいたい脂質が20gから30g程度となっています。またこの脂質は、マーガリンやショートニングなどの植物性の油がほとんどを占めています。これまで健康によいと考えられていた植物性の油ですが、摂りすぎによって様々な健康被害を及ぼすという研究が出されています。このページでは、摂りすぎによってどんな害が心配されるのかについて簡単に解説します。

脂肪酸の種類について

植物性の油や動物性の脂などは、グリセロールと呼ばれるものに脂肪酸が結合したものから構成されます。脂肪酸は大きく飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。不飽和脂肪酸はさらに、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸に分けられ、多価不飽和脂肪酸はさらに、n-3系脂肪酸、n-6系脂肪酸に分けられます。

脂肪酸分類図

脂肪酸は、炭素、水素、酸素から構成されており、炭素が鎖状に18個結合したものに水素と一部酸素が結合する構造になっています。炭素に水素が飽和状態で結合しているものを飽和脂肪酸、水素の結合が2箇所なくなって炭素同士が2重結合となっている箇所が1箇所あるものを一価不飽和脂肪酸、炭素同士の2重結合がもう1箇所増えて2箇所あるものをn-6系脂肪酸、炭素同士の2重結合がさらにもう1箇所増えて3箇所あるものをn-3系脂肪酸といいます。

脂肪酸構造図

植物性の油や動物性の脂はこれらの脂肪酸が混ざり合って組成されています。牛や豚の脂やバターなどの動物性の脂は、主に飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸から組成されています。また、大豆油、コーン油、ひまわり油などの多くの植物性の油は主に一価不飽和脂肪酸とn-6系脂肪酸から組成されています。サンマやイワシなどの青魚の油やシソ油は主に一価不飽和脂肪酸とn-3系脂肪酸から組成されています。

アレルギー過敏症などの原因に

植物性の油を組成するn-6系脂肪酸の中で多く存在する脂肪酸にリノール酸と呼ばれるものがあります。リノール酸は体の中にはいるとγ-リノレン酸、アラキドン酸といったぐあいに次々に変換されます。さらに、アラキドン酸からは、細胞が傷ついたときに痛みを感じる物質や血管を拡張させる物質など(炎症メディエーターと呼ばれます)が作られ異物を排除しようとする働きが起こります。このようにアラキドン酸を出発点として次々に炎症の元となる物質が作られる様子を滝(カスケード)に見立ててアラキドン酸カスケードと呼んでいます。

リノール酸は体の中で作ることができないため必要な脂肪酸ですが、過剰に摂ると炎症メディエーターも過剰に作られ異物を排除しようとする働きが必要以上に持続してしまいます。

一方、リノール酸を原因とした過剰な働きを抑える作用があるのがn-3系脂肪酸になります。n-3系脂肪酸のうち人にとって必要な脂肪酸に、αリノレン酸と呼ばれるものがあります。リノール酸と同様に体の中でエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)と次々に変換されます。この変換は、片方の変換が優位になると片方の変換が弱まるといった具合に競合的に作用するため、αリノレン酸の変換が優位になるとリノール酸の変換を抑える方向に働きます。

n3脂肪酸の作用イメージ図

アラキドン酸がもとになって過剰に作られた炎症メディエーターは、活性が強いため喘息やアトピー性皮膚炎さらにはクローン病や潰瘍性大腸炎などの病気のリスクを高める要因の1つになるといわれています。また、近年増加している肺癌、乳癌、大腸癌などの欧米型の癌は、リノール酸の過剰摂取により体の中で炎症が持続し細胞が傷つくことによって癌化しているとする研究結果も出されています。

脂肪酸バランスのあり方

日本人の食事摂取基準(以下基準)においては、n-6系脂肪酸の目標量を必要エネルギー量の10%未満としています。これは、1日の必要エネルギー量を2,300キロカロリーとすると26g相当になります。また、別の研究においては10g未満とするべきという意見もあります。

いずれにせよ、菓子パン1個で脂質20g~30gというのは、他の食事からもリノール酸が摂取されることを考慮すると摂りすぎになる可能性が高いです。さらに、揚げ物やファーストフード、スナック菓子や洋菓子にもリノール酸は多く含まれており、このような食事を頻繁に摂る方は食生活の見直しが必要かも知れません。

基準においても、n-6系脂肪酸については、上限となる目標量を、n-3系脂肪酸については、下限となる目標量を定めていることからn-6系脂肪酸を多く含む菓子パンや揚げ物などの食事を減らし、n-3系脂肪酸を多く含む魚介類を適度に増やすことが様々な病気のリスクを減らすことができると考えられます。

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